「いただきます」「ごちそうさま」の語源

トリビアヤマネコ
トリ先生、「いただきます」「ごちそうさま」って毎日言うけど、あれ元々誰に言うとる言葉なん?

トリ先生
いいとこに目をつけたね。実はあの二つの言葉、向いてる相手が全然違うんだよ。
「いただきます」は命そのものへの感謝の言葉

トリ先生
「いただく」はもともと「頭上に掲げる」という動作を表す言葉で、そこから「高い存在から物を受け取る」という謙譲の意味に転じた。「いただきます」は、目の前の食べ物という「命」を、自分の命のためにいただく——動植物の命への感謝を込めた言葉なんだ。

トリビアヤマネコ
作ってくれた人やのうて、食材そのものに向けた言葉やったんか。

トリ先生
そういう説が有力だね。仏教の「不殺生」の教えと、他の命をいただいて生きているという自覚が結びついた表現、とも言われてる。
「ごちそうさま」は準備してくれた人への感謝

トリビアヤマネコ
ほな「ごちそうさま」は?

トリ先生
「馳走(ちそう)」は本来「馬を馳せて走る」、つまり奔走するという意味だよ。昔、来客をもてなすために食材をあちこち走り回って集めた——その労力そのものを指す言葉だった。「ご馳走様」は「あちこち駆け回ってくれてありがとう」という、もてなしの労力への感謝の言葉なんだ。

トリ先生
つまり「いただきます」は食材の命へ、「ごちそうさま」は用意してくれた人の労力へ——向いてる先が違う二つの感謝が、食事の前後にセットになってるんだ。
この習慣は世界的にも珍しい
- 多くの文化圏では食前の祈りはあっても、食後に決まった言葉を言う習慣は少ない
- 「いただきます」「ごちそうさま」がセットになっている点が、日本語の食事作法の特徴とされる
- 給食など集団での食事教育を通じて、この習慣が広く定着している

トリビアヤマネコ
何気なく言うとった一言に、二つも違う感謝が詰まっとったんやな。

トリ先生
そういうこと。「いただきます」と「ごちそうさま」は、命への感謝と、人の労力への感謝——二つの感謝を分けて表現する、日本語ならではの美しい習慣なんだよ。
